「おい、過去がどうのってのはやめろよ。俺だって自慢できるような過去はないしさ、ここは元の世界とは違うんだしさ、こっちの危機を乗りきる方が先じゃないの?」

エルロがいいタイミングで大きな声でリリルの話をとめた。


千代はずっとうつむいたまま、じっとしている。


「僕が話した神様は、本来元の世界から消え去る運命だった僕たちをこの世界に存在させることを目的にこの世界を造ったといった。

だから僕たちで、この世界を守ることが強大な敵に対抗するきっかけとなると。

僕たちがこうして、集まるのも必然だといわんばかりだった。

とにかく力をあわせて、この世界を守っていけと・・・」


「へえ、じゃ、俺たちはこの世界の英雄候補ってことだよな。」

エルロはガッツポーズをした。


「じゃ、ヒロインは私ね。颯爽と登場、悪者をささっと片付けて、ナオにお姫様抱っこしてもらおうかしら。うふっ」


「え、その年でヒロインはねぇだろ。かわいいヒロインは千代に決まってるって。
それになぁ、ヒーローがお姫様を助けてあげるのが普通だろうがぁ。」


「まぁ、うっさいわね、ガキはおだまり!」


「おばはんがヒロインになるのは家政婦って決まってんだよ。」


「誰がおばはんですってぇーーーー!」


「いい加減にしなさい!!ガキもおばはんも黙って。先生、その続きはないんですか?

ただ守っていけといわれても、何をどうするか言ってもらわないと漠然としすぎてますよねぇ。」


ゼオは説明をきいたからといって、どうにもならないことを感じていた。


ナオも今の自分の生活から考えて、旅に出るわけにもいかず、力を合わせろとだけしか命令されていないのだから、そのまま伝えるしかなく、再び神様を待つしかないと説明を終えた。