許せなかった。

ガヤを騙していたことも。

あのいたいけなジュンを傷付けたことも。


気が付いたら外を走っていた。

セイジが振り返る。

あたしはその顔目掛けて飛びかかった。


「楓さん!だめッス!」


遠くのほうでテツの止める声が聞こえたけれど、時はすでに遅し。

あたしの拳はセイジの顔にクリーンヒットした。

煙草が宙を飛ぶ。

それはまるでスローモーションのように、

ゆっくりと。



そしてセイジは――――――――――――――――――――――――――――――



崩れ落ちた。







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