「ナイッシュー!」


ボールが綺麗に螺旋を描いて、バスケットの中に入った。

仲間同士でハイタッチする様はまるで学校の部活みたいだ。

ただ部活と違うところは時間帯が夜だということと、彼らのカラフルな風貌。

赤に金に、銀髪。

いまどき、リーゼントもいる。

あとは刺青に鼻ピアス。

そして何よりあの鋭い眼光。


「総長!こっちです!」


あの宣言から一週間。

まさかあたしが彼ら、暴走族"BLAST"のリーダーだなんて誰もが信じられないだろう。

ジャージに着替えた楓は彼らに引っ張られて、コートに入る。

周りを囲んだバイクの光が眩しくて、めまいがしそうだ。

お互いのチームが二手に別れて向かい合った。


「赤チームが先手ね」

「っしゃ!総長、よろしくお願いします」


ボールが楓の手に渡ると、相手のチームは言った。


「総長。女だからって手加減しませんからね」

「今度こそオレらが勝ちますから!」

「行くぞー」


審判員らしき男が煙草を上に上げる。

灰が床下に落ちたら試合開始の合図。

白い煙が立ち上る。


そして、

ジリジリ、と煙草は短くなり

灰が―――――――――――――――――――――――――落ちた。