B L A S T

「おいおい、ふたりとも。冗談やめろよ。意地の張り合いはみっともねえぞ」


バックミラー越しにタクマが呆れたように言った。

すると、


「いいんじゃない」


それまで笑っていたイツキが口を開いた。


「楓に一任する。それはそれで俺は面白いと思うけど」


車内が大きく揺れる。

驚いたタクマがブレーキを踏んだ。

幸い目の前は赤信号だ。


「お、おいイツキ！それ本気で言ってんのかよ！」


こくり、とイツキは頷く。

そしてその目はゆっくりと楓に向けられ、


「期待してるぞ、総長」


と半ば冗談交じりで言った。