ただ、キミが好き

ダメだよ。

変だよ。

襲ってほしいなんて。

女の子がそんなこと考えるなんて!

そんなのイヤラシイよ!

頭を振って、蛇口をさらに拈る。

無心に野菜を洗い続けるわたしの頭上から

「ミコ?それ野菜洗ってるの?」

蓮くんの呆れたような声が降ってきた。

はっとして、手元に目を落とす。


「え?」

気付けば、トマトは潰れて、全身水浸しだった。

ベチョベチョになった物体を呆然と眺める。

「な、なんで?」

「なんで?じゃないよ。自分でやったくせに」

クスクス笑いながら、蓮くんは棚からタオルを取り出して、私の頭にかけた。

優しい手つきで、髪を拭いてくれる。