ただ、キミが好き

でも、少しずつ蓮くんの帰りは早くなっていった。

中学を卒業する頃には、『日が暮れたら帰る』が暗黙の了解になってて。

たまに引き止めると、こんな風に困った顔をするようになった。

理由はわからない。

嫌われた訳ではないと思う。

蓮くんはいつも優しいもの。

「ダメ?」

首を傾げて見上げると、彼は仕方なさげに溜息を漏らした。

「いいよ。そのかわり」

さっき伏せたわたしの参考書を取り上げる。

ペンスタンドから赤いマジックを抜き取り、きゅっと丸を描いた。

「問10まで、明日までに解いといてね」

……………。

前言撤回。

やっぱり嫌われてるかも?