ただ、キミが好き

「き、聞いてる」

コクコク頷くと、蓮くんは左手で頬杖をついて、私の手から参考書を取り上げた。

「逆さま」

くすっと笑い、机に伏せる。

「ダメだよ。中間テストまでもう日にちないんだから。ぼんやりしてたら、赤点とるよ」

「……ごめんなさい」

赤くなって頭を下げると

「今日は終わろうか」

穏やかに言って、机に置いた参考書を重ね出した。

「帰っちゃうの?」

壁のファンシーな時計に目を走らせる。

蓮くんが私の部屋に来てから2時間。

時刻は7時をまわっていた。

「外ももう暗いし。そろそろ、ね」

カーテンの隙間から覗く薄闇を見ながら、蓮くんは鞄に参考書を入れ始めた。