ただ、キミが好き

腕を組み、眉をしかめて、松田さんがわたしを睨んでいた。

「…松田?」

藤平くんが立ち上がる。

「なにそれ、どういう意味?」

「別に。そのままよ!」

藤平くんの問いに、彼女は乱暴に答えて背を向けた。

「待てよ」

その肩に手をかけ、藤平くんは首を傾げた。

「お前、なにカリカリしてんの?
こそこそ文句言ったり、嫌がらせしたり。
前はそんな奴じゃなかったじゃん。
佐和さんになんの恨みがあるのか知らないけどさ。
見ててすげー気分悪いよ?
もう、いい加減にしたら?」

「放っといてよ」

松田さんは藤平くんの手を弾き、叫んで歯ぎしりした。

「暴行されたなんて悲劇のヒロインぶって!
男嫌いだって、所詮気を引くための演技だったんでしょ?」

「松田!」

叱り付けるような藤平くんの声にビクッと身をすくませる。

藤平くんは腕を組んで溜息をついた。