ただ、キミが好き

「佐和ミコトがなに?」

浅倉が鋭い口調で問いかけながら、アヤへ歩み寄る。

アヤは困ったように俺を見たが、浅倉に至近距離から覗き込まれて、頬を赤らめ口を割った。

「佐和さん、さっき、立川紗耶香のグループに呼び出しされたの。
サーヤ最近イライラしてたし。意外と気性が荒いから……。
念のため一樹に報告しようと思って……」

――何?そのしおらしい喋り方。

どいつもこいつも。
浅倉の顔に惑わされすぎだっつーの

うんざりする俺の前で、浅倉は、顔を曇らせ首を傾げた。

「呼び出し? なんでミコトが?」

浅倉の意外な反応に俺とアヤは目を見合わせた。

「知らないの?佐和さん最近女の子の間で評判悪いんだよ?」

「だからなんで?」

「浅倉くんにも一樹にもフラフラしてるから。みんなの反感かったんじゃないかな?
男好きだとか言われたり、過去の事件のことまで持ち出されたりして、
ちょっと気の毒だよね」

――噂の発信源はお前だけどな。

他人事じみたアヤの台詞に苦笑いを噛み殺す。

「上条さん!呼び出しってどこ!?」

アヤを問い詰めながら、今にも走り出しそうな浅倉の腕を捕まえ、俺は首を振った。