ただ、キミが好き

「……いいえ」

俺は息を吐いて、部屋の中程まで進み、壁際に置かれたパイプ椅子に腰掛けた。

真由と視線が絡んだ。

彼女が窓際を離れ、俺の側へと歩み寄る。

頬にひやりとした指があたった。

さらさらと音をたてて、長い黒髪が滑り落ちて来る。

身体を曲げて真由は、俺にキスをした。

そのまま、腕を首に回して身を寄せてくる。

足の間に割り込むように、真由の細い身体が強引に捩込まれた。

深く押し当てられた唇は、真由の冷たい身体とは対象的に、アツく熱が篭っている。

吸い付き、離れ、また深く吸い付く。

静かな部屋に粘着質な隠微な音と、荒い息遣いが響いた。

酸素を求めて唇をあける。

その隙間から、生暖かい舌が侵入して来た。