ただ、キミが好き

俯き、痺れの残った指をゆっくりと広げる。

もう一度拳を作り、爪が食い込むほど固く握りしめた時、カチャリと屋上のドアが開く音がした。

「あ、一樹ぃ。やっぱりここにいたのぉ?」

舌ったらずな女の声に、目線だけを上げる。

茶色の髪をクルクル巻いた、頭の悪そうな女が歩いてくるのが見えた。

立川紗耶香

一度ヤって以来、彼女面で近寄ってくる、強引で面倒くさい女だ。

「もう! ずぅっと探してたんだよぉ」

紗耶香は軽く頬を膨らませてそう言うと、腕を絡め豊かな胸を押し付けてきた。

「ねぇ、どこにいたのぉ?」

甘えるような上目使いで俺を見上げる。

「一…樹……?」

しかし目が合うと、彼女は驚いたように声を途切れさせ、腕から手を離した。

「……顔、怖いよ?どうか、した?」

引き攣った表情を浮かべる紗耶香に、俺は口の端を上げ笑顔を作って見せた。

「別に?」

彼女の腰に腕を回して抱き寄せる。

首筋に唇をあて、制服のボタンに指をかけた。

「さーや、やらせてよ」

耳元で囁く。

彼女は、ぴくんと反応して身をすくませた。