ただ、キミが好き

笑いが収まると、次に苛立ちが感情を支配した。

目を細め、靴先の黒く変色したコンクリートを睨み付ける。

半分も吸っていない煙草を投げすて、足でねじり消した。

なあ、浅倉。

佐和ミコトを自分のモノにして、それで安心か?

念願叶ってさぞ満足してんだろ?

でも、まさか

このまま都合よく自分達だけ幸せになれると、

本気で思ってるわけじゃないよな?

―――彼女を

あの女の身代わりにして

散々弄んだお前が……さ。

噛み締めた奥歯が、ぎりっと音を立てる。

「……ムカつくんだよっ」

固く拳を握りしめ、思いっきり背後の壁に打ち付けた。

どうしようもなくイライラする。

なにもかも壊してしまえば、

この苛立ちは収まるのか?