ただ、キミが好き

ゆっくり顔が近づき、真由の唇が重なる。

重い空気を振り払いたくて、顔を逸らし深く息を付いた。

『……吉仲先輩は』

声が掠れる。

『何が目的ですか?』

『何かしら?』

自問するように言って真由は目を伏せた。

『別に浅倉くんと彼女の邪魔をするつもりはないわ。ただ、私たち似ている気がしたから』

『似てる?』

真由が甘い香りのする身体を擦り寄せる。

華奢な肩がミコトを連想させた。

『私を好きにならなくていいの。少しの間でいいから側にいて?』

『そういうの。虚しいだけなんじゃないですか?』

素っ気なく答えると、真由は寂しげに笑って、俺の肩に顔を埋めた。

『それでもいい。本当に欲しいものは……いつも怖くて手に入れられないから』