ただ、キミが好き

言い捨てて、背中を向ける。

真由は怯む事なく、背後から抱き着いてきた。

『ねえ、私をあの子の身代わりにしてくれない?』

『吉仲先輩、いい加減に………』

彼女の手を掴み、身体から離しかけて、袖口から覗く手首の傷跡に気付いた。

『………』

一瞬、ミコトの傷が、頭を過ぎる。

なぜか真由がミコトに重なって見えて、動きを止めた。

真由が俺の視線に気付いたように腕を解く。

『私ね夏服は着れないの』

彼女は手首のボタンを外し、袖をめくった。

現れたのは腕に付いた無数の傷跡。

真由は愛おしそうにそれを撫でた。