「っっ、何だって、もう……!」
『流石は隊長』
『あの若さで隊長となっただけある』
『俺らがついていくのはあの人しかいない』
などなど、そんなセリフを背中に浴びせられれば縮こまってしまう
城近くの庭園まで逃げて、彼は大きくため息をついた
天候は曇り
晴れていればこの庭園の花も立派にその真価を発揮するだろうにと思う
大木によりかかり、そのまま幹に腰掛けた
腰にある剣が邪魔だったので膝上に置いたわけだが
「………、誇りか」
剣を見ながら、先ほど自分が言ったセリフを思い出す
あれほど言いながら、可笑しな話
彼に騎士としての誇りはなかった
弱音を吐く部下――正直に言えば、戦う意志もない奴を戦場に連れては行きたくはない


