そのセリフに、誰かが雄叫びをあげた


一つ、二つ、三つ


剣で天空を刺すかのような狼たち


遠吠えめいた歓声は彼らを獣にして、かつ――


「俺たちは死ぬために行くわけではない!我が敵を全て一掃するために進むだけだ!」


闘争者としての魂を震え上がらせていた


「オオオォォォ!」


地が震えるような轟き――そこでクロスがやっと自分が注目を集めていたことに気付いた


仲間の志気をあげられたのはいいが、言われない気持ちになる


「と、ともかくもだ。騎士として選ばれたからにはその責務を果たせ。以上っ」


と、最後はどうもしまりない言葉になってしまった


照れていた

赤面する顔を見られぬようにそそくさと人がいない場所に逃げる


またそれもそれで、部下に激励をいれて颯爽(さっそう)と去る尊敬すべき上司に見えて仲間はまた盛り上がっていた