騎士戦争



助けたら最後刺されるから、誰かを守っていては自分の命を守れないと無視した命たちを足で踏みしめさえもしたのに――


「あ、ああ!」


それは憎しみだった


自分が出来ないことをした男

さも当然とやってのけた男に憎しみを持つ


人の命を甘く見て、この戦争を乗り切ろうとしたのに


「なん、で……!」


自分の意志を挫く者に出くわした


剣をふるい続ける


盾たる男は仲間のために不動であった


衝撃がないわけがない

現に、剣を打ちつけられるという鈍痛に男は顔を歪ませている


なのに、動かない


「っ、くそ!」


一際大きく振るう――がそれは悪手だ


打ちつけられるまでの時間がかかる大きな振りは、クロスに隙を与えた