「何だってんだよ、一体」
驕りでもあるならば、こちらから仕掛けようとした矢先――後方から迫力ある声がした
相手を殺そうとするかけ声
うかつでもあった。が、さして致命傷にもならない事態
後ろからの攻撃されるなど慣れている
身を横に移動させ、足で相手の膝を蹴ればそいつは前に転ぶ
慣れ親しんだ殺しが次の段階
剣を振り上げるのに迷いはなかった
胸に剣という墓標を立てようとし――止められた
いつの間にそこにいたのか、割って入ったのはあの巨剣
盾にさえも見紛えててしまうそれは、ああ確かに男二人を守っていた
仲間がやられそうだったから助ける
それだけのこと、人として当たり前のことに
「…………ぁ」
衝撃を覚えてしまった
仲間を見捨てた自分がいた
助けたいと思っても助けなかった自分があった


