騎士戦争



ただでさえ、馬に乗っての上からの攻撃だ


威力に重力までプラスされるのだから受け止めた瞬間に肩が破壊されるのは確実


足をひたすらに動かした


前にいる敵を斬りながら、背中に男が近づくのを感じる


「っ、ぐ……!」


実質、一分も走っていないはずなのに肺の片方が機能してないような呼吸困難


馬と人の追いかけっこでは人が負ける


だからその負けるまでの時間の内にケリをつけるのだ


クロスが向かったのは死体置き場


ばらまかれた肉は無造作に大地に敷き詰められていた


転がる死体を踏みつける


クロスにとってはすぐに体制を直せるそれだが――


四本の足で走る馬にとっては致命的だった


手綱を引き、バランスを崩す馬をいさめる男であったが

それを見逃すクロスではなかった


足元にあった横たわる死体


胸を剣で突かれたまま絶命しているそいつから剣を引き抜き――


「こ、のっ!」


投げた