初めて、“敵と目が合った”と感じた
馬に跨るは、異色を放つ男
赤みがかった褐色髪が灰色の世界に生え、しかもか茶色のその眼差しが――
「――――」
自分とは違う存在だと気付くような強い眼差し
衝撃でもあった
この戦争最中にこんなにも、光ある目をしている奴がいるなどと
振るう剣が止まりそうになったが――構える
相手が向かってきた
敵なのだ、当然と言えばそう
馬ごとこちらに突進し、持っている得物を振り上げる
通常ならば受け止めよう――が、クロスはあえて地べたに転がり身をかわした
とっさの判断だ
ただ思っただけ
――受け止めた瞬間に、肩が壊れる
男の武器はそれほどの“威力”があるものと認識した
一般的な西洋剣でも重みがあり大きいとなるのに、こちらが大きいとなればあの刃は巨大であった
男自身の身の丈あろう刃
それを振り回してきた男はさぞや鍛えられた腕を持つだろう


