「直してる……最中だ。つうか、何のようだよ。冷やかしならあっち行け。お前の姿は目に痛いんだ」
目に痛い、とは男の姿についてだった
赤
髪も赤ならば、服も赤
派手好きかどうかは知らないが、クロスの知る男はいつもこんな恰好で
「冷やかしだなんてとんでもない。私の代わりに部下の志気を高めた将軍様にお礼を言いたくてね。いくら虚偽でも、あれで振るう剣に鈍りはなくなっただろう」
こんな感じだった
皮肉たっぷりの口調、人の弱みに塩を塗るような言葉選び、芝居がかった声も聞いていていい気はしない
やっぱこいつは嫌いだと、クロスはつーんとそっぽを向いた
「おやおや、嫌われちゃったか。そうしていると、男をふるご婦人みたいだね」
「っっ、こ、告白してたのかお前!」
「……、そういう意味で言ったんじゃないのだが。まあともかくも、先の台詞は痺れたよ。
言うようになったね、君も」


