「ベッドだ、ベッド!」



下里さんが叫びながらベッドにダイブする。

しばらく畳に布団の生活だったから、あたしも嬉しい。



「あ、そうだ。あたし、シャワー浴びてくるね」



もう温泉に入ったけど、その後の夕食で料理の匂いが髪についてしまったから。


はしゃぐ下里さんを部屋に残し、あたしはバスルームに入った。


ぴかぴかに磨かれた猫足のバスタブや、いい匂いのシャンプー。

こういうのに心が躍るのは、あたしも女子ってことだろうか。


ウキウキしながらシャワーを終え、部屋に戻ると


「……あれ? 下里さん?」


いるはずの姿がなかった。


散歩にでも行ったのかな。


特に気にせず、部屋着に着がえてくつろいでいたとき



「おいっ! 何なんだよ!」



騒がしい声と同時に、扉が開いた。