「これ、文字が横書きだろ? こういうのはケータイ小説の棚」



淡々と説明しながら、正しい位置に本を並べる斗馬くん。


口調はいつも通りやわらかいけど、やっぱり表情に笑みはない。



長身で顔立ちが整った彼は、無表情だと急に近寄りがたい雰囲気になるということを

あたしは初めて知った。



それくらい、今まで笑顔の印象しかなかったんだ……




「……あのさ。

仲直りしねぇ?」




本棚に視線を向けたまま、斗馬くんが言った。


うっかり聞き流しそうになるほど、ぼそっとした声だった。



「え?」


「俺、昨日いろいろ調子乗って言いすぎた。ごめん」


「……」



なか、なおり?