「放課後、裏門で待ってるから。先に帰んなよ」


それだけ言うと、那智はやっと手を離してくれた。





昨夜……那智はあたしから日記帳を取り上げると、パラパラと数ページめくり

何事もなかったかのように押入れに投げ入れた。


そして泣き続けるあたしに、イラだったような、歯がゆいような表情で言った。



『忘れろ』



すべて忘れて

すべて踏みつけて


自分だけを見とけ、と。





「――親不孝だよな~」



突然耳に飛び込んだその言葉に、あたしはギクリとした。



「塾に行くふりして毎晩遊んでるとか、親が知ったら怒り狂うんじゃね?」



近くの席の男子生徒から笑い声があがる。