あやつりの糸

「君ならリキュールグラスが似合いそうだけどね」

 ベリルはそれが理解出来ないのか複雑な顔をした。自分の容姿に自覚があまりないことを充分に知っているトラッドはいたずらっぽく肩をすくめる。

「上の人間はさぞ驚いただろうね。絶対に口外出来ない存在に対して、世界の指導者に相応しいだなんて話をしたんだから」

 ふいに口を開いたトラッドに眉を寄せる。

「父さんは死にかけたこともあって(しばら)く精神的に伏せっていたけど、僕が生まれて持ち直した」

 実現のために、ベリルを手に入れなくては──おぼろげな記憶を頼りに施設を捜し出し、傭兵たちを雇った。

「金次第でなんでもする人間を選び、子ども以外はみんな殺せと命令した」

 改めて聞かされた言葉にベリルは表情を苦くした。復讐というには、あまりにも残酷だ。