汚れた街の汚れなき天使



っと、ここでは時間制限があるんだった。



短い間、抱きしめていることはたやすいし、むしろ幸せなんだけど今は君を救い出すことが先決。




「まりあ、今日時間無いか??」



「どうしたの海人?今日はラストまで仕事だよ?」



「その後……なんだけど」




ん……と椅子に座り膝を抱えて考え込む。


俺も一緒になって隣へ……相変わらずやたら硬いベットに転がり天井を見上げた。




「親父さんに怒られる……よなぁ。携帯だって今持ってないんだろ??」




「……うん」




おそらく俺はかなりマークされているだろう。




「じゃあ今から帰る!」



「帰ってどうするんだよ?家から出してもらえないだろ??」




そう焦る俺ににっこり、とびきりのスマイルを向けて




「……って事にして海人と一緒にいる♪」




いぇい!と自慢げなピースサインに俺の顔までほころぶ。




まりあなりのきっと初めてであろう親への反抗。



もちろん、断るはずがない。





「よし、じゃあ店の角曲がったコンビニで待ってる」




……ん??




「おいっ!!」




そんな俺の横でまりあはげほげほ、と慣れないタバコを吸いむせていた。




「だーめ!未成年だろ?」



ひょいっと取り上げると、目に涙を浮かべながら



「風邪ひいたフリしようと思って……」



しっかり、風邪らしいダミ声に変身していて……。




「体調崩してるんだから本当に風邪引くぞ?」



健気なキミの想い、大丈夫。俺には伝わってるから。