汚れた街の汚れなき天使




「そうなら早く言ってくださいよ!!」




産まれてくる子供の名前だなんて……。


怒る俺すらを柄にもない笑顔でまぁまぁとなだめる先輩は、本当に急に大人になったようで……。




「俺だって驚いたんよ。最近眞子の奴太ったんじゃねーか?なんて思ってたら妊娠なんて言うからよ」



「って事は結婚……するんですよね?」




あのいい加減な先輩が結婚して父親になるんなんて……信じられないけど……命の持つ力ってすごいのかもしれない。


ここまで人を変えるんだから。




「そんなのなぁ。妊娠が分かったその日に届け書いて入籍してやったに決まってるだろ?」



あぁ……この男気溢れる人は一体誰なんだろう??なんて眩暈までしちゃったりして。



俺もちょっとは強くなれてるんだろうか?あの日から、再び守る物が出来た俺は、傍から見たら少しは……。



「悪かったな?」




そんな俺の思考を遮ったのは、なんと……先輩の謝罪の言葉だった。