汚れた街の汚れなき天使




「こいつには恋愛感情なんてありませんよ?そう躾けてきた」



絡み合う糸が突然繋がった。


キミは言っていたっけ??


今まで人を好きになった事が無いって……。



だけど、俺に対して言ってくれた言葉は?あれも結局愛なんかじゃ無かったのか???



不安で、押し潰されそうな俺の耳に入ってきたのは






「お父さん。まりあは海人が好きだよ?一緒にいるとドキドキするんだ」



…………。



…………。



空気が一瞬凍りついた様に感じた。




そして。




「てめー!!俺の娘に手出すんじゃねぇ!!」



「勘違いしないで下さい。俺とまりあさんはなんの関係も無い。」



ですが……。



「ですけど俺は本気でまりあさんを愛してます。この先ずっと一緒にいたいって思ってます。」



「黙れっ!!だからあれほど見張ってたってのに……いいから帰れっ」



「嫌です!!彼女を店から開放してあげて下さい。あなたがやらないのなら俺がやるだけです!」



俺の言葉一つ一つが、父親の導火線に火をつけていたなんて思わなかった。



「海人……もういい、ありがと。」



そう告げるまりあに何も言えず……半ば強制的に俺は家を立ち去った。



これ以上俺が騒ぐ事で、まりあの体に更に傷が増えたりしたら?そう思ったら、もう何も言えなかった。