汚れた街の汚れなき天使




「じゃあ、彼女は波多野さんが引き取るんですね?」



「あいつには身よりは無いみたいなんで」



親父さんが死んで



母親は過労死だって言ってて



親父さんのニュースを聞いても親戚と呼ぶような人間は誰も現れなかった。






「…………。」



「星野さん??」




首を傾げて考え込むから話しかける。どうも俺って奴は沈黙が苦手らしい。





「あ、いや。お母さん生きてらっしゃいますよね?」




え……??




「過労死だったって聞いてます。まりあと同じ仕事をしていて、やっぱり働かされてって……」



が、星野さんは納得のいかない表情。



「少し待ってくださいね?」



なにやら内線を使い早口で指示を出したあと、俺は一人食堂に取り残された。



母親が……生きている??



もし本当ならまりあはどれだけ喜ぶだろう。



なのに、喜べない俺は彼氏失格だな。



まりあが遠くへ行ってしまいそうで怖いだなんて。