汚れた街の汚れなき天使




外はあいにくの雨で……一人で車を走らせていると急に寂しさに襲われる。



まりあと出会う前は当たり前だったのにな??



警察署の駐車場もガラ空きで一番署に近い所へ停車すると滑りやすくなっている床に注意しながら階段を上がった。



「こんにちは。あの、星野さんは?」


「お呼びします。少しお待ちください」



抑揚のないえらく事務的な受付のおばちゃんに軽い不快感を覚えつつ、近くにあった椅子に腰掛けた瞬間



「波多野さん!!わざわざありがとうございます!!」



相変わらずの爽やかな笑顔の星野さんの姿が見えた。



「いえ、遅くなってすみません……なかなか退院出来なかったもので」



そんな俺に



「健康第一ですからね」



そう言って歯並びの良い歯を見せながら笑った。



まだ本調子じゃないでしょうからこちらで、と案内された食堂は時間が早いせいか静まりかえっていて……本当にカツ丼ってメニューにあるんだ、なんてメニューを見ながらぼんやりしていると



「始めますか?」



その言葉と共に、現実に引き戻される。

あの日の記憶。



俺にも少しずつ戻ってきてるんだ。