汚れた街の汚れなき天使



「いただきまーす!!」



じゃあ食事に行こうか、そういった筈の俺達が伊藤邸にいるのはまりあが眞子さんに会いたがったせいで……。


新婚ごっこの続きをしたがっていた俺はちょっとがっかりだったりする。



「そんなに一気に食べなくても無くならないから」


そう眞子さんに咎められても気にせず箸を動かしているからどうしようもない。


今まである意味厳しく育てられたまりあは現在TVアニメに夢中。初めてみる世界が楽しいようで……まぁ少しは辛いこと忘れられるんだったらむしろ歓迎なんだけど。



「じゃあ全部話したのね?」



「はい。少し泣いてましたけど……」



「多分、ちょっとは覚悟してたんじゃないかしらね?」



そうかもしれない。


俺達が言わなかっただけで、まりあは心の準備を本当はしていたのかもしれないな。



「で、今日泊まっていいですか?先輩に話が合って。」



大きな紙袋を見せると眞子さんはくすっと笑い



「今日は徹夜決定ってとこかしら」



簡単に言ってくれる。



昔の先輩だったらおそらく……そんな面倒なことやってられるか、の一言で終わっただろうけど今の先輩ならきっと力になってくれる筈。



その位、まりあはこの夫婦の中にも溶け込んでいるんだから。