汚れた街の汚れなき天使




「大丈夫か?」



「ん……」



そう、俺がここへ来た理由は何も事実を伝えるだけじゃない。



どうしても知りたかったんだ。



まりあを……娘を風俗に売ってまでお金が必要だった理由。



先輩といくら話しても月20万の返済金以外の多額の収入、その使途は不明だった。




「悪いけど……開けるな?」




タンスの一番上の引き出し。



先輩が言っていたっけ?人がモノを隠す場合まずタンスを疑えって……。




「一緒に見るの」



背中に温かな感触が伝わって、肩口からひょこっと顔を出す。



「分かった」



現実を受け入れようと頑張っているまりあにダメなんて言わない。



けど。



辛いときは支えるから、一緒に乗り越えような??