頭に遺書、と書かれた汚い字のそれはおそらく犯行の前に書かれたものだろう。
泣きそうな顔で俺を見上げるまりあが痛々しくて、ただそっと抱きしめた。
××興産……先輩の調査記録に載っていたまりあの店を経営している会社だ。
警察には事実を全て話してあるから家までは捜索しなかったらしい。
第一発見者がまりあだとは……残酷だよ。
「お父さん……死んじゃったの??」
小さく震える手のひらを両手で包み込み、俺もまた震えた声で呟いた。
「お父さんは焼死だった。ごめん……助けられなくて」
俺の言葉に全身の力は抜け、声も立てずただ涙が流れ落ちた。
瞳を開けたまま、涙は止まることなく流れ続けて……。
やっと、足にぐっと力を入れて立ち上がった時、やっぱりまりあは笑っていたんだ。



