汚れた街の汚れなき天使





「じゃあね~♪無理しちゃダメよ」



「送ってくれてありがとう」




母親を見送ると



=ガチャガチャ=



すぐにでも泥棒に入られそうなありがちな鍵を使って部屋に入る。


……ま、金目のモノがあるようにはとても見えない訳だけど。





さて。



何から話そうか。




「こっちお父さんの部屋だよ。服とか持ってくの??」




「いや……その必要はない」




ちゃぶ台の上には随分放置されていたのか缶ビールが3本転がり小さな羽虫が飛んでいる。真冬だからいいもののこれが夏場だったら悪臭を放っていただろう。




「ん??これなんだろう???」




まりあが手にしたのはそのちゃぶ台に一緒に置かれていた紙切れで……。




マズイっ!!



俺の嫌な予感は的中してしまい、まりあの手に握り締められたその紙はもう取り返せなかった。