汚れた街の汚れなき天使




大学時代。


俺には幸という彼女がいた。


同じサークルで知り合って、一緒に行った海で仲良くなって、半同棲状態だった。




いつも一緒で本当に仲が良かったんだ。

結婚……したいって真剣に思ってた。



そんなある日の事。



飲み会で遅くなった俺が家に帰ると、幸が泣いていた。




「どうした??電気も付けないで!!」


「なんでも……ないよ。お水飲む??」


「いや、大丈夫。それより何があったか話してくれる??」




顔を見られたくないという幸の為に、電気は付けずに隣に座って抱き寄せた。


何を聞いても揺るがない自信があった。


それだけ愛していたつもりだった。



なのに……俺は……。




「膵臓がんなんだって。あと1年ぐらいしか生きられないって」




口に出して言う事で急に現実が襲ってきたのか、幸はその場で泣き崩れた。