「あいつさ、覚えてたんだ。俺が泣いた事?」
「はぁ?」
「俺が先輩に呼ばれてあの溜まり場に行ったのは強制だった。愛美の事好きだったから泣いたんだ。情けねーよな?」
……でもその後良かった訳でしょ??
達也は何が言いたい訳??
「でも、当然許される訳なくて……あの子を抱いた。俺の好きなのは愛美なのに……そんな裏切りした俺にはもう一緒にいる権利なんてないと思った。」
「でも……良かったんだろ?魅力たっぷりだったんだろ?そう言って去ったのは達也じゃん」
「……だから、それが嘘なんだ。実際どうだったかなんて覚えてない。本当に悪かった。」
そんな。
今更、そんな事実を突きつけられても……。
悔しい事に久しぶりに会った達也は相変わらず好きだった時のままで、カッコよくて、それがムカつく。
どれだけ合コンしてもいなかった達也の代わり。
恋愛が怖くなっていて……でもそれは達也のせいで……。
もし今、お兄ちゃんに相談出来たならなんて言うだろう。
《愛美が好きなら信じてあげたら?》
寝顔を見るとそう言った様な気がした。
ねぇ、おにいちゃん?
達也の事、信じていいの????



