センパイのグーにした手が震えている。
「愛美には酷い事言ったし、今更言われても、なぁ」
「だからね?好きだって言うの。まりあは好きな人に今逢えないの。逢えるけど、話せないの。だから……言うのっ!!」
一生懸命話したら……ぽんぽん、と頭を叩かれた。
「皆川は相変わらずバカだな?」
今日初めて見る笑顔。
知ってるよ?
みんな学校に行ってお勉強してる間、まりあはバカなまんまだ。
でも、それでも構わないって言ってくれる人がいる。
「どうして欲しい訳?」
「嫌いになってないんだったら会うの!!」
「ったって居場所もしんねーし」
「だから一緒に行くの!!」
ずるずるずる。
「ちょっ、お前いつの間にそんな強引な奴になったんだよ?」
「知らない!」
センパイを引きずって、海人の病室へと向かった。



