汚れた街の汚れなき天使





「って事は愛美ちゃんの好きだった人がそのサークルに入ってまりあちゃんを穢してたって訳??」



手早く温かいスープとトーストを食卓に並べながら眞子が言う。


まりあは考え疲れて眠ったようだ。



「ったく、とんでもない話だよな?それでまりあを恨んでるらしい。」



「辛いわね~。どっちも悪くないだけに。」



こくん、と綺麗な喉を鳴らして眞子も隣に座りスープを流し込む。



「でな?まりあも覚えてるらしいんだ。達也って奴の事。泣きながら抱かれたから覚えてるって。」



「泣きながら??」



「彼女に悪いって泣いたらしい。不良グループの命令には逆らえないらしくてな、裏切ろうと思ってヤったんじゃないんじゃないか?」



「って事は……愛美ちゃんに悪くて自分から別れを切り出したって事?」



「俺もそうじゃねーかと思ってる。」











知らなかった。




この時、起き出して来たまりあに会話を聞かれていたなんて。




全然、知らなかった。