公太の言葉を橘玲子はただ聞いていた。


『玲子さ、言ってたよね?この島に来て“死ぬ”覚悟だけは出来てるって…』


公太は雛鳥を見つめながら橘玲子に尋ねた。


『ええ…』


橘玲子は深く頷いた。


『そんな覚悟なんていらないよ。死ぬ覚悟って…結局負ける事を認めてるって事じゃん。せっかく玲子にも“生きる”可能性があるんだから、死ぬ覚悟なんていらない。1%でも可能性があるなら“死ぬ”覚悟より、この島で“生きる”覚悟を持つべきだよ』


公太のその言葉に橘玲子は、何も返す言葉がなかった。


『ガキのくせに生意気って思うかも知れないけど…俺には玲子みたいに1%も可能性がないから言うんだよ』


公太はそう言って、寂しそうな表情を見せた。