『雛鳥?それを見せたかったの?』


橘玲子は疑問に思った事を尋ねた。


『そうだよ。最近生まれたんだ。すっごい可愛いでしょ?』


公太は凄く嬉しそうに雛鳥を見つめていた。


『確かに可愛いけど…』


橘玲子には、何故公太が自分に雛鳥を見せたのか…考えてる事がよくわからずにいた。


『この島では簡単に人が死んで行く…そんないつも“死”と隣り合わせのこんな島なのに、ちゃんと“生”だってあるんだよね。終わりがあっても、始まりだってキチンとある。そう考えると、この島だって外とは何も変わらないんだよ』


公太はそう言って、橘玲子に笑いかけた。