橘玲子は公太に引っ張られるがままに歩いた。


『一体どこに行こうって言うの?』


橘玲子はさっさと歩く公太に尋ねた。


『秘密だよ♪』


公太はそう言って、機嫌が良さそうに鼻歌を歌いだした。


少し歩き、海岸から森に入った辺りで公太は足を止めた。


『ほら、見てよ!』


公太は一本の木を指差した。


『な、何?』


橘玲子は公太の指差す木に目を向けた。


『あの木の下から2本目の枝の所よく見てみなよ』


公太がそう言うと、橘玲子は公太の言うとおりに目をやった。


そこには鳥の巣があり、2羽の雛鳥がいた。