『確かにな…理由はどうあれ殺人は殺人だしな。今更悔やんでも、もうどうしようもないからな』
亮はそう言って唇を噛んだ。
『後悔してるんですか?』
修二は唇を噛む亮に尋ねた。
『そりゃあな…建築現場で足場が崩れ落ち、俺なんかをかばって下敷きになって同僚が死んだんだ。後悔するさ』
亮はそう言って、悔しそうに顔を俯けた。
『かばって下敷きにって…それって殺人というより、事故なんじゃ…?』
修二は亮の言葉に疑問を抱いた。
『殺人さ。同僚は新婚ホヤホヤで嫁さんのお腹には子供もいた…そんな同僚やその家族のこれから作る色んな思い出や笑顔や幸せの時間を奪ってしまったんだ。“命”を奪うのも“幸せ”を奪うのも罪の大きさは同じだからな…』
そう話す亮の目からは数滴の涙がこぼれ落ちた。


