『エンジンをかけるぞ』 亮はモーターボートについたままになっていたキーを回した。 しかし、モーターボートのエンジンはかからなかった。 『あれ?』 亮は何度もキーを回した。 しかし、エンジンはいっこうにかからなかった。 『くそっ!!』 亮はエンジンのかからない悔しさのあまり、モーターボートのデッキを拳で強く叩いた。 『どうしてエンジンが…』 橘玲子も悔しそうだった。 『どうして?…答えは簡単だよ。そのモーターボートのガソリンがここにあるからだよ』 ふと海岸からそんな声が聞こえてきた。