「俺はどうしたって、陸が一番で陸のことを最優先する」


真剣な瞳。


「きっと、あいつみたいに寂しい思いをするんだぜ?」


寂しい思いをしているのは、きっと彼自身なんだと思った。


家族に憧れ、家族を求めたのに、叶えられなかったのは全て自分のせいにしていた彼。


あたしは、グッと唇を噛み締めた。


「陸君っ、お姉ちゃんのとこにおいで?」


突然叫んだあたしに、びくっと肩を上下させたけで、陸君は彼から抜け出し、笑顔であたしの腕の中に来てくれた。


あたしは、ギュッと陸君を抱きしめた。

彼の大切な宝物なんだ。


「由梨ちゃん、どうしたの?」

「どうもしないよ! ただね、あたし陸君と陸君のパパが好きだなぁって!」


あたしは、まだまだ子供かもしれない。

陸君のママの代わりになれるなんて思ってもない。

だけど、優しいお姉ちゃんくらいにならなれるんだって伝えたかった。


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