「パパ…。 痛いとこあるの?」

抱きしめられたことで、陸君には彼の顔が見えない。

陸君は、よしよしと彼の頭を撫でていた。


あたしや彼が、陸君によくする仕草を真似しているのかな。


「ん…。 かもな…、ちょっと疲れてんだわ」


いつになく弱々しい彼がいた。

「あいつがいなくなって、正直絶望したよ。 あいつも、家族を捨てるんだって。
俺は、はっきり言えば家族に恵まれなかった。 だから、俺に家族が出来るって分かった時、何が何でも守るって誓った」


「いたいいた〜いの、飛んどけっ!」


彼の話と、陸君の声が重なる。


邪魔なはずなのに、彼は愛しそうにポンポンと陸君の背中を叩いていた。


まるで、大丈夫だよって言ってるみたいに。


「だけど、俺は守れなかった。 あいつもこいつも、寂しい思いをさせちまった。
そんな俺がよぉ……、もう一度夢みていいと思うか?」


ふわりと優しい笑顔が向けられる。


え……それって。

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