「もういいだろ。 早く帰れ」

「だから、話を聞いてくれなきゃ嫌だって言ってんの!」

「もう話を聞く必要なんてねぇだろ」


陸君を下ろした後、ずっと帰れ帰らないの言い争いが続いていた。


熱くなってるのはあたしだけで、彼はソファーに足を組んで座り至って冷静。


なんかムカつく。


「……どうして聞いてくれないの?」

「…………」


勢いのまま喚いてもダメだと思った。

そんなんじゃあ、またガキとか言われちゃうから。


人と向き合いたい時は、ちゃんと相手の目を見て話しなさいってママに言われたっけ。


だから、彼の前に跪き(癪だけど)下から彼を見上げた。

目つきの悪い、だけど澄んだ瞳と向き合う。


「あたしのこと、ちゃんと見てよ」


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