「2030号し…つ、あった」
部屋の前に立って、大きく深呼吸する。
この部屋の中に、彼がいる。
ちゃんと話して、あたしの気持ち分かってもらうんだ!
意を決してチャイムを鳴らす。
暫く待っているてドアが開き、あたしを見た彼は驚きに目を見開いていた。
「お前…なんで、此処…。 ああ、小波か」
自分より年上で、しかも上司を呼び捨てした後舌打ちまでしちゃう偉そうな態度。
うん、間違いなく彼だね。
「帰れ」
「帰らない! あたし、まだ納得してないんだから」
「……話すことはねぇよ。 お前は、新しい奴に世話をさせりゃいいだけだ。 何も変わらねぇだろ」
そう言って、ドアを閉めようとしたものだから、あたしは咄嗟にこの前映画で見たようなことをしてみる。
ドアに足を挟んだ。
「あいだーっ!!」
「なっ! おまっ…なにやってんだ! バカヤロウッ!」
「ッッッ! だって、あんたが話を聞かないからでしょ? 逃げんじゃないわよっ! 話くらい聞け、バカ!」
意外と地味に痛かった。
だから、普段は絶対使わないような言葉を吐いてしまう。
きっと、彼の影響だね。うん。
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