応接室らしい場所へ通され、暫く待つように言われて数分。


――ガチャ……


あ、安藤さん戻ってきた。


「なんや社長は留守かいな? ほんなら雪ちゃんでええから、用事頼まれてくれん」


安藤さんは誰かと話をしながら応接室へと戻ってきて、ドアを通ってくる安藤さんの後ろには、またしても美形がいる。


何此処は……。

美形しかいない会社なんですか?


「もう、千尋君は人使い荒いですよ? だいたい社長も言ってましたけど、オファーなしで来るのが間違いでしょう」

「ん? オファーってか、近いうちに行くとは伝えてたけどな」

「それが駄目なんですよ…。 あ、これはこれは、此方事で話し込んでしまい申し訳ない。 谷口様ですね?」


ようやくあたしに気付いてくれた、美形二号さん。


「は、はいっ」

「僕は、此方でマネージャーをさせて頂いてます。 小波雪と申します。 以後お見知りおきを」


丁寧な挨拶と名刺を渡され、ついでに紅茶まで出してくれた。

「谷口様は、紅茶で宜しかったですよね? 確か、ミルクたっぷりがお好みとか」

「は、はい!」


すごいなぁ、彼だけじゃなく、マネージャーなだけあって顧客の情報を把握しているらしい。

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