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このまま終わらせる気なんてさらさらないあたしは、とある場所に向かっていた。


「確かこの辺りだったよね」


一度だけ来たことがある、彼の会社ドリームパラダイス。


この角を曲がると………


「あった! 此処よ、此処!」


あたしが此処へ来た理由、それは彼を連れ戻すため。


彼に近づけたと思った矢先に、呆気なく突き放された。

だけど、簡単に諦めようなんて思わない。


一人前になりたくて、一人で何も知らない場所にやって来たくらい、それなりに覚悟と根性は持ち合わせているんだから。


諦められる恋なら、きっと最初から気にもならなかったはず。


意を決して、中に足を踏み込もうとした時だった。



「どちらさんですか?」

「へ? うわぁ……」


後ろから声をかけられて振り向くと、思わず声を漏らしてしまう。


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