今まで近づいてきた人は、苦労知らずなお坊ちゃまばかり。


臭い台詞を並べられても、高いプレゼントを貰っても嬉しくなかった。


だけど、初めて人に厳しくされたり、あたしが知らない世界を見せてくれたり。


一人の人間として頑張っている彼だからこそ惹かれていったんだと思う。


好きになれて、好きだと気づいて。

これからは、一人の女として立派になって彼に近づきたかったのに。


なのに―――……



「絶対、いやだもんっ」


この気持ち、諦めたくない。


彼を、相馬璃兎を振り向かせたい。


そう強く思った―――――


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